笑っていたい

映画・読書などの備忘録

『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』著:川上 量生

コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)
ジジィ殺しで有名なドワンゴ会長の川上量生が、ジブリの名プロデューサー鈴木敏夫の元で見習いをしながら、そこで聞き知った内容をまとめるために「卒業論文」の体で書いたという本書。一時はドワンゴジブリを買収といった記事も書かれたりしていたので、その布石としての弟子入りだったのか!とも思ったりしましたが違ったようで。内容は「コンテンツ」の定義とクリエイターが創作活動をする上でどのような思考やプロセスを経ているのかを、スタジオ・ジブリ周辺の人々のインタビューを挟みつつ考証しています。

そういえばKADOKAWA・DWANGOの社名が2015年10月から「カドカワ」に変更されるそうで。なんでもそれぞれの社名から2文字ずつ取って「カドカワ」らしいですが、完全なる角川になっている部分に突っ込み多数みたいです(笑)。

KADOKAWA・DWANGOの社名変更にwwwとツッコミ多数
http://yukan-news.ameba.jp/20150530-65/

『臆病者のための株入門』著:橘 玲

臆病者のための株入門
経済学的にもっとも合理的な投資法の項目を要約すると、資本主義は自己増殖して成長し続けるという前提が崩れない限りは、株で儲ける究極の方法は世界中の市場の株を保有するという投資法になるという。それを「世界市場ポートフォリオ」と筆者は名づけているのだけど、金融資産の8割をインデックス投資法で固めた手堅い世界市場ポートフォリオにして、残り2割を攻めの個別株投資などに割り当てることを提言している。

『性犯罪者の頭の中』著者:鈴木伸元

性犯罪者の頭の中 (幻冬舎新書)
「性犯罪を、性的欲求の問題としてだけとらえると、問題の本質を見誤る(P.186)」と本書にあるように、性欲旺盛な人間だけがゆきずりの性犯罪を犯すというステレオタイプな議論ではなく、日常のストレスを紛らわすために計画的に性犯罪を犯し、その負のサイクルから抜け出せなくなる依存症のような状態といった切り口で性犯罪者の思考が語られている。冒頭に出てくる「性犯罪はゲームのような感覚だった」と語るA受刑者も、引き金となった会社で受けた大きなストレスがなければ犯罪者にならなかった可能性もあるが、逆に言えばストレスが掛かればいつ性犯罪者になってもおかしくないという性質の持ち主であると言えなくもない気がした。

『社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則』著者:鈴木喬

社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則
消臭力」のCMで有名なエステーの社長鈴木喬による経営指南書。言動は感覚的でワンマンな感じもするが、基本的に数字や経理に強いという印象。理論を突き詰めた上で、最後は直感を信じるという

『穴』著者:小山田浩子

穴
第百五十回芥川賞受賞作、一年前の文藝春秋が出て来たので読んでみた。夫の実家の借家に越したことで始まる姑を絡めたちょっと不思議な日常譚。夫婦で田舎とも郊外とも読み取れない場所に引っ越すのだが、仕事を辞めた上での移転のため「人生の夏休み」のような状態に陥った主人公。作中で『不思議の国のアリス』がチラッと出てくるが、妻がそこで出くわす面々もまさに不思議というか不気味さを有している。庭で延々と水をまき続ける義祖父さんや、道中で出くわす謎の獣、夫の名前を呼び間違えたりする近所の奥さん。そして終盤から出てくる義兄の存在、夫に兄がいることを知らされていなかった妻の戸惑いは、しかし最後でさらなる不可解な事態に直面することになり解決されることはない。マジックリアリズム的ではあるけれど、そういう非現実的な幻想を見かねないなと納得してしまう「引っ越し先での出来事」という設定が巧いと思う。

『その女アレックス』著者:ピエール・ルメートル

その女アレックス (文春文庫)
ジャック・ケッチャムとか湊かなえとか読んだことあるけど果たしてミステリーに分類されるんだろうか。とにかく個人的にあまり読んだことのないミステリーと言うジャンルで2014年週刊文春ベスト10の1位に輝いたフランス人作家による本作『その女アレックス』。同じくフランス人監督のギャスパー・ノエによる『アレックス』というレイプシーンが話題になった映画があるけど、それとは別物。「女が閉じ込められている」というのが前半で、しかしそれは物語のフックでしかなく……という展開。中盤は中だるみ感がなくもないが、その冗長さが捜査の難航具合を醸しているとも。アレックスの兄貴が出くるあたりからの展開はパラダイム変換的な種明かしで一気に読ませる。そういえば丸谷才一の『快楽としてのミステリー』が読みかけだったので本棚から引っ張り出してみようかという気分になった。

『女子高生の裏社会』仁藤夢乃


「わかってくれる大人がいない」という言葉通りで、貧困層として育ってJK産業に組み込まれていってしまうような子の場合は、家庭環境・学校環境が相当劣悪で居場所がないパターンが多い。彼女たちの言葉を聞いてあげる真っ当な大人の不在、「無縁社会」と並んで「関係性の貧困」といったワードも出てくる。逆にそういった少女たちに目をつけて熱心にアプローチするのは裏社会の大人たちばかりという構造で、「衣食住」もままならない少女たちにとっては、むしろそっちの方が半分セーフティーネットみたいな役割を果たしてしまっている側面もあるという皮肉な状態。