笑っていたい

映画・読書などの備忘録

『その女アレックス』著者:ピエール・ルメートル

その女アレックス (文春文庫)
ジャック・ケッチャムとか湊かなえとか読んだことあるけど果たしてミステリーに分類されるんだろうか。とにかく個人的にあまり読んだことのないミステリーと言うジャンルで2014年週刊文春ベスト10の1位に輝いたフランス人作家による本作『その女アレックス』。同じくフランス人監督のギャスパー・ノエによる『アレックス』というレイプシーンが話題になった映画があるけど、それとは別物。「女が閉じ込められている」というのが前半で、しかしそれは物語のフックでしかなく……という展開。中盤は中だるみ感がなくもないが、その冗長さが捜査の難航具合を醸しているとも。アレックスの兄貴が出くるあたりからの展開はパラダイム変換的な種明かしで一気に読ませる。そういえば丸谷才一の『快楽としてのミステリー』が読みかけだったので本棚から引っ張り出してみようかという気分になった。